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奈良流オーベルジュ・ステイ

取材先 「オーベルジュ・ド・ぷれざんす 桜井」

全9室のこだわりオーベルジュ

 丘の上の一軒宿――。
 ひと目見て、誰もがそうつぶやいてしまいそうなロケーションに立つ「 オーベルジュ・ド・ぷれざんす 桜井」。眼下には棚田、その先には美しい曲線を描いた古墳が点在し、目を転ずれば春日山から遠く生駒山までがぐるりと見晴らせる。飾らない自然はどこか懐かしく、ホッと心が解放されるようだ。

 オーベルジュとはフランス語で「宿泊施設を備えたレストラン」のこと。ゆったりとおいしい料理を味わい、そのまま快適に時を過ごし、ぐっすりと眠る。地元食材を生かしたこだわりのフランス料理でもてなすこの宿は、郊外で過ごす本物のオーベルジュ・ステイを提案している。

 2015年9月5日にオープン。場所は、三輪山の麓に広がる“クニのはじまりの地”桜井と、聖徳太子が活躍した飛鳥地方を結ぶ丘陵地。ここは大神神社を起点とする山の辺道散策にも、石舞台古墳をはじめとした飛鳥めぐりにも最適で、さらに奈良南部の吉野や十津川への起点としても絶好のポイントだ。
 部屋はエグゼクティブスイートが2室、ツインルームが7室の全9室。小さな宿だが、このこじんまりとした雰囲気がまた心地いい。ロビーも室内もいたってシンプル。とはいえ天井一面は吉野杉、灯りには吉野檜のシェードが使われるなど、随所に奈良らしさが盛り込まれている。
 チェックインはロビーのソファでウエルカムドリンクを片手にゆったりと。室内に入り、清々しい木の香りに包まれたかと思う間に、窓の外に広がる悠然とした景色が目に止まる。備え付けのテラスに出れば、大和盆地を独り占めだ。到着した瞬間にまた来たくなる。ここにはそんな魅力があふれている。

奈良をまるごと楽しむ美食旅行

 料理は地産地消にこだわったフランス料理。朝採れ新鮮野菜に厳選した大和肉や大和肉鶏など、素材選びに妥協は一切ない。
 オープンにあたってシェフ自らが訪ね歩いたという地元農家では、あまり知られていないがとびきりおいしい野菜との出合いも数多くあったといい、それらを掘り起こしてフレンチの新境地を開く。「この素材をどうアレンジするか」。テーブルに並べられた料理の数々に、日々のメニュー作りを楽しむシェフの姿が目に浮かぶ。
 魚介類は和歌山の漁港からの直送。華やかな盛り付けには旬を意識した遊び心もプラスし、目にも舌にも贅沢な限り。ワインの豊富さも自慢のひとつだ。

 「オーベルジュ・ド・ぷれざんす 桜井」は2016年4月に開校した奈良県運営の「なら食と農の魅力創造国際大学校」に併設されたもの。全国に高級フランス料理店を展開するひらまつが運営する。

 宿泊のみもOK。もちろんディナーのみ、ランチのみの利用もできる。しかし、やはり“オーベルジュ”として楽しみたいもの。豊かな歴史と素朴な景色が残るこの地でのおいしい滞在は、まさにオーベルジュの定義にぴたりだ。
 車でなければ不便な立地だが、たとえ遠くても行きたくなる美食の宿は、これまでになかった新しい“奈良ステイ”を予感させてくれる。

文:宮家美樹
本文中の情報は平成28年3月31日時点のものです

オーベルジュ・ド・ぷれざんす 桜井

宿泊 
住所 奈良県桜井市高家2217 
TEL 0744-49-0880 
チェックイン15:00、チェックアウト11:00
休業日 月曜日(祝日の場合は翌日) 
料金
エグゼクティブスイート55,000円
ツインルーム23,000円
(いずれも2名で利用の1室あたりの室料)

レストラン(要予約)
ランチ5,000円~
11:30~13:30(ラストオーダー)
休業日 月・火曜日 

ディナー9,000円~
17:30~20:00(ラストオーダー)
休業日 月曜日(祝日の場合は翌日)

(ページ内表示価格 税サ別)
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