もっと奈良を楽しむ
東大寺二月堂の
修二会(しゅにえ)と椿菓子
撮影:木村昭彦
修二会と良弁椿(糊こぼし)
東大寺二月堂の修二会は、正式には「十一面悔過法要」と言います。天平勝宝4(752)年の創始以来、一度も中断されることなく厳修され、令和8(2026)年に1275回目を迎えます。この法要は、二月堂本尊十一面観世音菩薩の前で、みずからをはじめすべての人々がおかす過ちを懺悔(おわび)し幸福を願うもので、現在は3月1日~14日に行われています。元は旧暦2月1日から行われていたため、「二月堂」「修二会」の名がつきました。この法要を勤める僧侶を練行衆(れんぎょうしゅう)と言い、期間中毎夜、彼らが本堂内に入るまでの道明かりとして松明(たいまつ)に火がともされ、二月堂の欄干からその火の粉が舞い上がります。3月12日深夜(13日午前1時半頃)には、観音さまにお供えする水「お香水(こうずい)」をくみ上げる儀式「お水取り」が行われます。修二会が「お水取り」「お松明」とも呼ばれるゆえんです。

二月堂を西側から見上げる位置に、東大寺を開山した良弁(ろうべん)僧正をお祀りする開山堂があります。修二会の頃、開山堂に咲く椿は紅色の花びらに白い糊(のり)をこぼしたような斑点があることから「糊こぼし」と呼ばれています。時節柄、「古都奈良に春を告げる」とされる東大寺二月堂の修二会は、不断の行法(ぎょうほう)として連綿と受け継がれていくことでしょう。
※修二会参拝など詳細は東大寺公式サイトをご参照ください。
修二会の季節の椿菓子
2月~3月中旬、東大寺二月堂の修二会にあわせて、奈良市内の和菓子店には開山堂の椿(良弁椿・糊こぼし)の花をかたどった生菓子が並びます。椿の開花に加え、修二会の期間中に二月堂内に手づくりの椿の造花が飾られることにもちなみます。店それぞれにこだわりの素材・味・色・形状があるので、この店あの店と求め歩くのも楽しみ方の一つです。この時期限定の紅白鮮やかな椿菓子の競演を、目と味覚でご賞味ください。
千代乃舎 竹村
千代乃舎竹村は元禄14年(1701年)に、竹村源兵衛が現在の地(奈良市東向南町)で「山城屋」を創業したのが始まりです。以来320余年、厳選した素材を代々伝わる製法で、職人がひとつひとつ丁寧に作り続けています。
〒630-8216 奈良県奈良市東向南町22
0742-22-2325
御堂椿
モチっとしたこなし餡で紅白の五弁の花びらと花芯を整え、花芯の中にはこし餡が入っています。
御菓子司 萬々堂通則
萬々堂通則は江戸時代後期に奈良の地で創業。春日大社の神事で供えられる唐菓子「ぶと」をアレンジした「ぶと饅頭」が看板菓子の一つ。古都の彩りと受け継がれる伝統の技を守りつつ、“新しい風”を伝えています。
〒630-8217 奈良県奈良市橋本町34
0742-22-2044
糊こぼし
椿のおしべは黄身餡、花びらは紅白の練り切り餡。柔らかく繊細で、口どけの良い上生菓子です。
寧楽菓子司 中西与三郎
「寧楽菓子司 中西与三郎」は大正2年(1913年)創業。餅屋として始まり110余年。その伝統を受け継ぎながら、創作の心と彩りを添えた和菓子を作っています。観光・散策に人気のエリア「ならまち」から、手づくりならではのあたたかみを込めたお菓子を届けています。
〒630-8337 奈良県奈良市脇戸町23
0742-22-3048
南無観椿
黄身餡、白小豆粒餡の2種類を作っています。見て美しく、食べて甘すぎず、しっとりとした食感で喜ばれています。
御菓子司 萬勝堂
明治23年創業の萬勝堂は奈良の歴史と伝統を大切に、味覚・臭覚・触覚・視覚(四季の移ろい)・聴覚(菓名に通じる和歌や俳句の響き)を心地よく感じて頂ける和菓子を心を込めて届けています。
〒630-8286 奈良県奈良市東向中町24-1
0742-22-2502
修二会の椿
ぷるんとした見た目の正体は、花びらに仕立てられた羊羹です。中は黄身あんになります。
菓匠 千壽庵吉宗
東大寺戒壇院のほど近くに奈良総本店を構える千壽庵吉宗。なまこ壁に格子戸のある建物で、黄色い包装紙に「わらび餅」と大書した「生わらび餅」が不動の一番人気商品です。奈良の自然が育んできた素材を使い、毎日でも食べたくなるお菓子を作り続けています。
〒630-8273 奈良県奈良市押上町39−1
0120-300-327
二月堂椿
紅白五弁の花びらは白餡につくね芋を練り込んだ薯蕷練り切り。花芯は黄身餡です。しっとり上品で、温かい日本茶でゆっくりといただきたくなります。
和洋御菓子司 とらや
「和菓子は人間の五感の芸術作品である」を信念に持つ2代目が、奈良の四季を上生菓子や創作和菓子で表現しています。餡を包んだワッフルやロールケーキなど、洋菓子も並びます。店先からは興福寺を望めます。
〒630-8393 奈良県奈良市鶴福院町31
0742-22-3353
開山椿
大きさに対して、黄身餡がぎっしり。紅白おめでたい花びらはオーソドックスに表現しています。しっとりとした口あたりで、ほどよい甘さです。
萬御菓子誂處 樫舎
東大寺様二月堂は上院と呼ばれそこで執り行われる修二会の行は観音様にお香水を供え天下国家安泰、五穀豊穣を祈る奈良の大切な祈り。その観音様をお迎えする須弥壇に奉られる練行集手作り、椿の造花。
「貧者の一灯」に続く美しい花(おもい)にこころを寄せ特別の素材を穢さぬよう誂えました。
〒630-8392 奈良県奈良市中院町22-3
0742-22-8899
上院椿
備中白小豆の粒餡を、備中白小豆のこし餡と陸奥のつくね芋で仕立てた練り切りで包みました。上品な甘さが広がります。
本文中の情報は令和8年3月時点のものです。
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