もっと奈良を楽しむ

奈良の近代建築
その3 中南和エリア②

奈良には星霜を重ね、時代に磨かれてきた名建築が多数残されています。それらは古代より人々の祈りを受けとめてきた寺社建築であったり、明治の文明開化で西欧に学んだ洋風建築であったり、今なお地域で活用されている歴史資産であったりします。「奈良の近代建築その3」では「その2」に続いて、奈良県中南和エリアの、経年の美と重厚さをまとう近代建築を紹介。古都奈良で大切に継承されてきた古き良き建築を巡ってみましょう。

旧高市郡教育博物館(今井まちなみ交流センター華甍)

旧高市郡教育博物館(今井まちなみ交流センター華甍)

1903(明治36)年建築。開国後に洋風建築が脚光を浴びていた時代の中、古都奈良にふさわしい外観の明治建築です。2階建の本館の両側に翼廊が備わり、端正な左右対称形が特徴。当時の奈良県の社会教育施設としては、1895(明治28)年開館の帝国奈良博物館(現・奈良国立博物館/奈良市)に次ぐものでした。今井町役場として使用されるなど変遷を経て、現在は、江戸時代の町並みが残る今井町の歴史を紹介する資料館(見学無料)になっています。

旧高市郡教育博物館(今井まちなみ交流センター華甍)

〒634-0812
奈良県橿原市今井町2丁目3-5

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旧六十八銀行八木支店(ジュール フェリエ ラ・バンク)

旧六十八銀行八木支店(ジュール フェリエ ラ・バンク)

優美と重厚、調和と均整を併せ持つ洋風建築で、1928(昭和3)年竣工。2006(平成18)年に橿原市初の登録有形文化財になりました。外観を見ると、柱頭部に方状の渦巻き装飾がある2本の円柱、直方体の装飾が縁に並ぶアーチ窓、店名板をはめた玄関屋根、最上部両端のメダリオン(楕円形の浮き彫り)などが目を引きます。旧六十八銀行(のち吉野銀行、御所銀行と合併して現・南都銀行)八木支店、和歌山銀行橿原支店、映画館「八木劇場」などを経て、現在はフレンチレストランが営業しています。

旧六十八銀行八木支店
(ジュール フェリエ ラ・バンク)

〒634-0078
奈良県橿原市八木町1丁目2-13

日本聖公会八木基督教会堂

日本聖公会八木基督教会堂

1913(大正2)年に設立された日本聖公会八木基督教会の会堂は1936(昭和11)年に建築されました。切妻造桟瓦葺の木造2階建。1階は礼拝堂、2階は東半分が吹き抜け、西半分が和室です。和室の襖を開放すると、礼拝堂を見渡す桟敷席になります。これまで大規模改修が少なく、ロマネスク様式のアーチ付き列柱や長椅子なども建築当時のまま。十字架を彫った瓦が2つ、屋根のどこかに乗っています。探してみてください。礼拝時や司祭在堂時に会堂内を見学できる場合があります。

日本聖公会八木基督教会堂

〒634-0077
奈良県橿原市南八木町1丁目8-1

育成幼稚園園舎兼日本聖公会櫻井聖保羅教会礼拝堂

育成幼稚園園舎兼日本聖公会櫻井聖保羅教会礼拝堂

1907(明治40)年建築時は平屋の礼拝堂でした。1930(昭和5)年に内部に床と天井が付けられ、階下が幼稚園、階上が礼拝堂になりました。木造二階建切妻造桟瓦葺で、外壁は下見板張、腰は一部モルタル洗出仕上。元はレンガ積みだったようで、今でも壁内にレンガが残っているそうです。一部に見える尖塔アーチ窓がチャームポイント。礼拝堂の天井は梁を「Ⅹ」に組んだシザートラスで支えています。どこか懐かしさを感じる礼拝堂は2024(令和6)年8月、登録有形文化財になりました。

育成幼稚園園舎兼日本聖公会櫻井聖保羅教会礼拝堂

〒633-0091
奈良県桜井市桜井70



日本聖公会高田基督教会堂

日本聖公会高田基督教会堂

明治10年代から奈良県でキリスト教諸派の伝道活動が盛んになるに伴い、高田でも教会堂建設の機運が高まり、1889(明治22)年に完成しました。礼拝堂は東西に長い長方形で、会衆席の東側奥に聖所を設けています。ハンマービームトラス(対面する壁をアーチ構造で支え、水平に渡す陸梁を省略する手法)という技術が用いられ、天井空間の広さが特徴で、たいへん音響の良い礼拝堂です。明治期のキリスト教伝道初期の貴重な建築として、奈良県の有形文化財に指定されています。

日本聖公会高田基督教会堂

〒635-0082
奈良県大和高田市本郷町9-27



旧産業銀行高田支店(森川商店)

旧産業銀行高田支店(森川商店)

専立寺の東向かいに立つ、1927(昭和2)年完成の昭和モダンな建築。当時の産業銀行高田支店として建てられました。ほぼ直方体の洋風2階建で、正面の“面構え”がりりしい。注目は正面玄関まわり。ドアの左右に2本ずつ見られる柱はパルテノン神殿などにも採用されたエンタシス(上部に向かって徐々に細くなる形状の柱)。近寄ると安定感が見て取れます。洋風建築でありながら、寺社風にも見える玄関屋根にも注目してみてください。

旧産業銀行高田支店(森川商店)

〒635-0087
奈良県大和高田市内本町8-20

旧吉野銀行高田支店(モリモトデンキ)

旧吉野銀行高田支店(モリモトデンキ)

専立寺を中心に江戸時代の町家や近代建築が残る高田寺内町に、1933(昭和8)年に建てられた洋風建築。奈良を中心に活躍した建築家の岩﨑平太郎が設計しました。現在は1958(昭和33)年創業のモリモトデンキの店舗兼住居です。1階部分は改修されていますが、旧吉野銀行時代の趣を残す石積みの壁などを見ることができます。2階外観は建築当時の姿を留めており、正面両端にある左右開きの半円アーチ状の窓と半円形の窓台、庇下に並ぶ半円形の装飾が目を引きます。

旧吉野銀行高田支店(モリモトデンキ)

〒635-0086
奈良県大和高田市南本町3-19

黒滝村旧役場庁舎(黒滝・森物語村)

黒滝村旧役場庁舎(黒滝・森物語村)

村役場は当初、小学校校舎の校舎の一部が充てられましたが、明治43年に建てられた吉野材木黒滝郷同業組合事務所を1913(大正2)年から借用して役場単独の庁舎が開庁しました。その初代庁舎は、新庁舎に移った1978(昭和53)年以降も大切に保存。外観見学のほか、黒滝・森物語村の事務所に申し出れば入館可(11:00~16:00)。1階は室内に入れませんが、扉のガラス越しに見ると、カフェか、ダンスフロアのような華やかさ。2階は黒滝村の歴史文化などを紹介・展示する民俗資料館になっています。

黒滝村旧役場庁舎(黒滝・森物語村)

〒638-0241
奈良県吉野郡黒滝村粟飯谷1



本文中の情報は令和8年6月時点のものです。

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