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2018年3月24日(土)、平城宮跡歴史公園オープン 朱雀門 写真提供:国営飛鳥歴史公園事務所


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2018年3月24日(土)
平城宮跡歴史公園へいじょうきゅうせきれきしこうえんオープン

天平文化花開きし平城宮

2018年3月24日(土)、平城宮跡歴史公園オープン2018年3月24日(土)、平城宮跡歴史公園オープン

平城宮いざない館
写真提供:国営飛鳥歴史公園事務所

 和銅3(710)年、元明天皇げんめいてんのう(在位707~715)が手掛けた平城京が完成した。
 律令制に基づいた政治を行う中心地として、交通の要地である奈良盆地の北端に唐の長安城を模して造られた都城である。
 碁盤目状の直交街路によって街区が形成された日本初の条坊都市として造成された藤原京に遷都してから、わずか16年後のことだった。

第一次大極殿

朱雀門

 東西約4.3キロメートル、南北約4.8キロメートル。その長方形の東側には東西約1.6キロメートル、南北約2.1キロメートルの外京があり、総面積は約2,500ヘクタールにも及ぶ。南端に設けられた羅城門らじょうもんから平城宮の正門・朱雀門すざくもんまで伸びた幅約74メートルの朱雀大路すざくおおじを中心に西側の右京、東側の左京に別れ、碁盤の目のように整然と区画された京域には10万人以上の人々が暮らしたという。
 当時の律令国家の中央政府機構は北部中央に位置した平城宮に設けられた。内部には天皇の御在所である内裏だいり、政治や儀式の場である大極殿だいごくでん朝堂院ちょうどういんをはじめ、官司(役人)が日常業務を行う官衙かんがなどが整然と配置されていた。
 朱雀門を中心に12の門を囲む築地の高さは約6メートル。厳重な管理のもとで宮内に入ることができたのは皇族や貴族、役人といったごく限られた人々だった。

朱雀大路 写真提供:国営飛鳥歴史公園事務所

 しかし、朱雀門前は開かれたスペースとして利用されたという。天皇による祝賀の儀や外国人使節の送迎という公の行事の舞台となっただけでなく、歌垣うたがきなども行われて大いに賑わいをみせた。

 年号の語呂合わせの通り、まさに「なんと(710)立派な平城京」である。
 天平文化の中心地として70年近くにもわたって繁栄を誇った平城京だが、その計画・建造には藤原京が大いに関係している。


遷都に活かされた知恵と技術

平城宮 写真提供:国営飛鳥歴史公園事務所

 藤原京の大きさは南北約4.8キロメートル、東西約5.3キロメートルで、現在では平城京を凌ぐ巨大さだと判明している。前述したように、藤原京こそが中国の条坊制じょうぼうせいに倣い、日本で初めて首都として計画された都市だった。
天武天皇てんむてんのうが目指し、皇后であった持統天皇じとうてんのうが受け継いだ中央集権国家の確立には、それまで宮が営まれた飛鳥の狭隘な谷底平野から広大な藤原の地への脱皮と、類をみない大規模な都市の造営という「近代化」が必要だったのだ。

 ところが、鳴り物入りで登場した藤原京は、わずか16年の短命を運命づけられてしまう。
 都市化によるゴミの問題、疾病の流行など、平城京への遷都の理由には諸説あるが、最大の理由は藤原京と長安の構造の基本的な違いにあると考えられている。

 平城宮の例でもわかるように、宮は北部の中央にあって南面するべきなのだが、藤原宮は京の中央に置かれていたのだ。
 この事実が第7次遣唐使(702-704)の帰国の報告によってもたらされたことにより、東アジアの覇権を握った唐を見据え、内外に国力を誇るための新京であったはずの藤原京は、新たなる新都建設へと動きだすことになる。

 とはいえ、平城京には藤原京が息づいている。

 奈良盆地には古くから多くの直線道路があり、中央より東に約2.1キロメートルの等間隔で平行して南北に走るのが上ツ道かみつみち中ツ道なかつみち下ツ道しもつみちの3本。このうち中ツ道と下ツ道の間にちょうど藤原宮が収まっているのだが、この2本はそのまま平城京設計の基準線としても利用された。
 幅約24メートルだった下ツ道を3倍に拡幅するようにして朱雀大路が作られ、中ツ道が平城京の左京のほぼ東端になるよう設定されている。
 さらに藤原京の建築資材も大いに活用された。貴族や役人の邸宅だけでなく庶民の住居までが解体され、中ツ道・下ツ道の陸路と下ツ道運河の水路を使って運ばれて、新天地で再度組み立てられたという。

 そう、平城京は元祖・エコロジー&リサイクル都市だったわけである。

平城宮跡に「平城宮跡歴史公園」が開園

平城宮いざない館
写真提供:国営飛鳥歴史公園事務所

 さて、2018年3月24日(土)、総面積132ヘクタールの平城宮跡に「平城宮跡歴史公園」が開園した。

 最大の見どころは、朱雀門南側に伸びる奈良時代のメインストリート・朱雀大路とそれに直行する二条大路を復原して蘇らせた「朱雀門ひろば」。この歴史的に重要な区画がお楽しみ満載のひろばとして登場する。
 朱雀門ひろばの西側には、レストランやカフェなどの憩いの場はもちろん、 復原遣唐使船に乗り込める「天平うまし館」、見晴らし抜群の展望デッキを有した「天平みはらし館」などいくつもの魅力的なスポットを展開。東側には、平城宮跡の見どころをはじめ発掘資料や出土品、また奈良時代の様子を復元した模型などで、平城宮の今昔をさまざまな視点で紹介する「平城宮いざない館」ががオープンしました。併せて、中央区朝堂院を中心とする北側一帯も公園として開放される。

1300年前に政治と文化の中心地だった平城京。
そのスケールに目を見張りながら、かつての華やかな賑わいを体験したい。

平城宮いざない館
写真提供:国営飛鳥歴史公園事務所

本文中の情報は2018年3月31日時点のものです

2018年3月24日(土)、平城宮跡歴史公園オープン 2018年3月24日(土)、平城宮跡歴史公園オープン

平城宮いざない館
写真提供:国営飛鳥歴史公園事務所

平城宮跡歴史公園へいじょうきゅうせきれきしこうえん

平城宮跡歴史公園  2018年3月24日(土)、平城宮跡歴史公園オープン

〒630-8577 奈良市佐紀町
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  • 平城宮いざない館
    開館時間/9:00~17:00(入場は~16:30)
    休館日/2月・4月・7月・11月の第2月曜日(祝日の場合は翌日休)、年末年始
  • 天平みつき館
    開館時間/8:30~19:00
    休館日/年中無休
  • 平城宮跡資料館
    開館時間/9:00~16:30
    休館日/月曜日(祝日の場合は翌日)12/29~1/3

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