もっと奈良を楽しむ

飛鳥の「岡寺」は日本最初の厄除け霊場
大きな白い塑像に会いに行く

口元に紅が残る御本尊如意輪観音

岡寺の画像

奈良県明日香村にある岡寺。
阿吽の仁王が守る仁王門をくぐり、季節ごとに飾られた手水舎で手を清め、階段を登って向唐破風(むこうからはふ)が設けられた本堂へと進むと御本尊の如意輪観音が優しい表情で迎えてくれます。
今は色彩が剥離し白いお姿ですが、なんといっても奈良時代に盛行された塑像(土でできた仏像)としては高さ4m以上もある日本最大の御本尊。

御本尊如意輪観音の画像

頭上に高く結んだ太い宝髻には藍色が少し残っており、眼を伏せずにまっすぐ前方を見すえ、紅がぬられた厚い唇を固くとじた面相には、威厳の中にも優しさを感じます。
”銅像”の東大寺 毘盧遮那仏(奈良の大仏)
”木像”の長谷寺御本尊 十一面観世音菩薩
”塑像”の岡寺御本尊 如意輪観音菩薩
と日本三大仏にもあげられており、岡寺の御本尊は重要文化財。
寺伝によると弘法大師が日本・中国・インド三国の土を以って造られ、それまで本尊とされてきた金銅如意輪観世音菩薩 半跏思惟像(重要文化財)を胎内に納めて、本尊としたとの伝えも残っています。

龍の眠る寺

岡寺の古称は「龍蓋寺(りゅうがいじ)」。伝説には、土地を荒らし、農民を苦しめていた悪龍を、岡寺の開祖・義淵僧正が法力をもって池の中に封じ込め、大きな石で『蓋』をし、改心をさせたことからその名が付いたと記されており、龍を蓋で閉じ込めたことから「龍蓋寺」。
明日香村の東、かつて飛鳥宮があった地の横、岡山の中腹にあり、土地の名から岡寺と呼ばれるようになったとか。

義淵僧正版画像

その池は現在も『龍蓋池』として境内に存在しており、蓋である大きな要石を触ると雨が降るという言い伝えから、昔は『龍蓋池』の前で請雨(雨乞い)の法要も行われたと伝わります。
また悪龍の『厄難』を取り除き、飛鳥を守った伝説は現在まで脈々と続く岡寺の『やくよけ信仰』の始まりの所以のひとつであるとも。岡寺は龍の眠る寺でもありました。

日本で最初の厄除け霊場

岡寺は古来より「西国第七番の観音さま」「やくよけの観音様」として信仰を集めるお寺。鎌倉初期作の歴史的物語として有名な「水鏡」の書き出しに、
「つつしむべき年にて、すぎにし きさらぎの初午の日、龍蓋寺へ まうで侍り」
と、厄年(つつしむべき年)の時の二月(きさらぎ)の初午の日に龍蓋寺(岡寺)へお参りすると良いと書かれており、当時、すでに「岡寺厄除参り」が定着していた事がわかることから日本で最初の厄除け霊場であるといわれています。

『護摩祈祷は厄除けだけじゃない!』今の思いを祈願する時間

「奈良では厄年になる女性は岡寺に参る」といわれています。地元では女性の厄除け観音として信仰を集めているのは事実ですが、正式に岡寺が女の厄年寺とはどこにも記載が残ってないようです。如意輪観音に残る口元の紅が女性らしいので特に女性の信仰を集めたのではという推測です。
現代は男女共々、厄の年だけではなく、「気になるときに」、「岡寺にせっかくこられたので…」と、「交通安全」「家内安全」「身体健全」「安産祈願」「病気平癒」「息災延命」など、それぞれの人のそれぞれのその時の思いや願いを祈願する時間として護摩祈祷を希望されています。

季節折々の手水舎の彩りが『映えるスポット!!』

岡寺の副住職が日々発信しているSNS。ダリア、アジサイ、モミジ…、ビー玉と季節折々の素敵な動画や画像が話題です。春はサクラ、シャクナゲの薄ピンクのかわいらしい花が迎えてくれ、ゴールデンウィーク前後にはダリアが浮かぶ『華の池』や花の手水舎、そのあとはアジサイ、青モミジ、紅葉へと岡寺の彩りは続いていきます。

花の手水舎の画像
アジサイと岡寺の画像
花の手水舎の画像
紅葉と岡寺の画像

岡寺の基本情報

住所 〒634-0111 高市郡明日香村岡806
電話 0744-54-2007
拝観時間 8:30~17:00 (12月~2月 8:30~16:30)

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