もっと奈良を楽しむ
奈良の近代建築
その2 中南和エリア
奈良には星霜を重ね、時代に磨かれてきた名建築が多数残されています。それらは人々の祈りを受けとめてきた寺社建築であったり、明治の文明開化で西欧に学んだ洋風建築であったり、また、単なる遺産でなく、今なお地域で活用されている資産であったりします。「奈良の近代建築その2」では、奈良市を除くエリアで経年の美と重厚さをまとう近代建築に注目。古都奈良だからこそ大切に継承されてきた古き良き建築を巡ってみませんか。
宝山寺獅子閣
天理大学附属天理図書館
1925(大正14)年、天理大学前身の天理外国語学校に発足した「天理図書館」は、翌年から閲覧が開始されました。現在の建物は1930(昭和5)年10月竣工。石造りの西欧風建築で、2023(令和5)年に国の登録有形文化財になりました。国宝6点・重要文化財88点を含む約150万冊の蔵書数を誇り、15歳以上(中学生除く)なら誰でも利用できます。大理石のカウンター、あめ色の閲覧席や手すり、天井と柱のアーチ、照明器具など、優れた建築要素が多い、知の殿堂です。
天理大学附属天理図書館
〒632-0032
奈良県天理市杣之内町1050(天理大学杣之内キャンパス)
旧奈良県立図書館(城址会館)
1908(明治41)年に奈良公園内に建てられた奈良県最初の県立図書館で、1968(昭和43)年に郡山城内に移築されました。木造二階建ての入母屋造で、屋根からにらみを利かせる鬼瓦など、外観には日本の伝統建築の意匠が施されています。主棟の両側に切妻造・平屋建の翼部が付き、正面から見るとすぐに左右対称だと気づきます。外観のほか、1階ホールも見学できます(土日祝の10:00~16:00※12月24日~1月6日除く)。
旧奈良県立図書館(城址会館)
〒639-1011
奈良県大和郡山市城内町2
旧豆山荘
大和鉄道(現近鉄田原本線)の敷設などを手がけた実業家の森本千吉が、1923(大正12)年に建てた邸宅。河合町役場の敷地内にあり、元個人邸としては珍しく村役場として使用されていました。後年、新庁舎建設や老人福祉センターの新築に伴い、一部が取り壊されましたが、二階建て入母屋造の主屋、当初のシャンデリアが残る和洋折衷の離れ、邸宅の入り口にあたる棟門が現存します。名称にある「豆山」は邸宅が建つ丘陵地の通称です。
旧豆山荘
〒636-0053
奈良県北葛城郡河合町池部1丁目1-2
旧名柄郵便局(郵便名柄館 テガミカフェ)
1905(明治38)年開局の名柄郵便局の局舎として、1913(大正2)年に擬洋風の木造平屋が建てられました。1975(昭和50年)に郵便局が移転し、以降約40年空き家でしたが、再生プロジェクトが立ち上がり、2015(平成27)年5月、郵便資料館とカフェを併設した「郵便名柄館 テガミカフェ」がオープン。アンティークな空間で明治・大正時代の“郵便文化財”を見学でき、カフェでは地産食材中心の月替わりランチやスイーツが人気です。
旧名柄郵便局(郵便名柄館 テガミカフェ)
〒639-2321
奈良県御所市名柄326-1(駐車場あり)
JR畝傍駅
駅の開業は1893(明治26)年。当時は橿原神宮や神武天皇陵への最寄り駅で、参拝する皇族のために設けられた駅舎内の貴賓室は、1940(昭和15)年の皇紀2600年記念式典にあわせて改築された寺社風建築の現在の駅舎に継承され、同年に昭和天皇が、1959(昭和34)年に皇太子ご夫妻(現・明仁上皇と上皇后美智子)が利用しました。現在は無人駅。大正時代の駅舎の木材も再利用されており、大正・昭和の面影がじんわりと漂っています。
JR畝傍駅
〒634-0078
奈良県橿原市八木町2丁目1